遺産分割の方法は大きく分けて3つあります。まずは、被相続人の遺言による遺産分割方法の指定があればそれが優先されます。遺言がない場合や、分割方法の指定がない部分については、遺産分割協議によって分割します。協議がまとまらない場合には、家庭裁判所による調停や審判がなされます。ここでは、遺産分割協議と家庭裁判所による調停・審判につい見ていきます。
■遺産分割協議(民法907条1項)
遺産分割協議における分割の方法は、現物分割、個別配分、換価分割、代償分割、利用権の設定等があります。ここでは、相続人A・Bが、X・Yの二つの土地を分割するという設定でそれぞれの方法を見ていきます。
〇現物分割
現物それ自体を分割する方法です。A・Bが土地X、土地Yがそれぞれ分割して分け合います。
〇個別配分
現物をそのまま分割する方法です。Aが土地Xを、Bが土地Yを相続するような場合です。
〇換価分割
遺産を金銭に換えて分割する方法です。土地X・Yを売却し、得られた代金をA・B間で分け合います。
〇代償分割
現物を特定の相続人が相続する代わりに、他の相続人には、その相続分に応じて金銭を支払うという方法です。Aが土地X・Yを相続し、Bの相続分に応じてAが金銭を支払います。
〇利用権の設定
例えば、Aが土地Xの所有権を取得し、Bがその借地権を取得する、というような方法がとられることもあります。
■家庭裁判所による審判・調停(同法907条2項)
共同相続人による遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所が審判によって分割します。通常、審判の前に調停による分割が試みられ、不調に終わると、審判手続きに移行します。
家庭裁判所は、民法に定められた遺産の分割の基準(同法906条)を指針として、特別受益(同法903条)や寄与分(904条の2)に関して判断し、それを踏まえて具体的相続分を定め、分割を行います。分割の方法としては、現物分割・個別配分を原則としますが、特別な事情のある場合には、代償分割がされることもあります。
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遺産分割協議・調停
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